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花に嵐の映画もあるぞ 川島雄三を読む




映画監督の頭の中は一体どうなっているのだろう。
彼に夢中になり、5倍速くらいで映画を追いかけ始めた私。
いろいろな映画に出会うたびにそう思います。
作品を観て。
たまたま伝記的ドキュメンタリーをYouTubeで見て、
川島雄三という監督のセンスと才能にますます興味が湧いたので読んでみました。

「花に嵐の映画もあるぞ」

没後半世紀近く経ってから出版された彼のインタビューや対談、エッセイ、脚本などをまとめた本。

冒頭から彼の文才にワクワクします。

陶淵明「雑詩」の翻訳

長いのですべては記せませんが

「人生無根蔕  じんせいねもなくへたもない

       ・
       ・ 

一日難再晨  あさがいちにちにどないように

及時当勉励  いきてるうちがはなではないか」

この漢詩をこう訳すか・・。
遊び心が実に楽しい。

50年以上前の言葉なのに、
新鮮でドキッとする言葉たち。

「…僕が今興味を惹かれるのは、小津安二郎についてである。
僕によれば彼の色彩は割とはっきりしている。
それは知性の底深く沈み込んだ冷ややかな情感の発するものだ。
それは例えば青々と深海魚の燿いをみせる陶器の色調である。

彼の作品の光沢の冷たさは単に知性から出たものでなく、先天的な冷ややかさに身をひたす感性から来ている。
そしてそれはフィルムの、イマルジョンの銀粒子の輝きによってちょっぴり近代性を持ち、リファインされている。
「淑女は何を忘れたか」の基調をなすものは、都会のアンニュイ中流家庭の持つ低温的感情である。
随所にみるエロティックな表現においても、冷たさはそれによって身震いを伴うほど強調される。

小津安二郎がかつて、映画と春画の魅力の相似点を語ったが、それはクローズアップと色調の問題を根底にひそめる。」

…彼が小津映画について語った一文です。

小津映画から感じる温度と映像と不似合いな艶かしさ。

あーなるほどと頷ける表現。

小津映画が映画人から愛される理由がよくわかります。
春画と似ているという小津安二郎の感覚も面白い。

だから、次は「写楽」だったんだ…。
小津リスペクトの彼ゆえ、我が身を写楽に例えたか。
構想中彼が急逝し、彼が描く写楽を観られなかったのは残念無念。

だから、海外で評価が高いのかな…などと考えるとまたまた面白く。


同じような発想でいろいろな監督について考えてみる。

映画の色調と温度。

それぞれ実に魅力的。

「…作家は誰しも自他に制約された秘密を持つものだが、どっかにその片鱗をのぞかせる。
それをみることも作に接するある楽しみである。」

あの映画に隠されたあの監督の秘密って…。。。(笑)
どんな秘密が覗いていたのか…。
またお気に入りの映画が観直したくなる。

映画人との対談からは彼の映画に対する思い入れが伺えてとても興味深い。

商業主義的作品と
作家としての自分をかけて撮る作品。

作品の落差が激しすぎると指摘され、最初の心構えが違うといいのける。

「生活のために撮る」

会社から与えられると
こんなものでもやろうと思えば何とでもできるそう思ってやっちゃう。

商業作品を撮ることも、彼にとってはプライドの一部だったということのようです。

こんなくだらないものは撮らないと仕事を受けないプライドもあると思いますが、

でも、そんな仕事も受けちゃってそれなりに商業ベースに作品を乗せながら、自分が本当に撮りたいものは別に撮る。

ちょっぴり悶々としながら、芸術家と職人の間で彷徨う彼が人間臭くてかっこ可愛い。


「積極的逃避とは偽善への挑戦
偽善とは自分の外にあるものばかりでなくして、自分の内部へ向かってももっときびしくしなければならない…。
人間の本質を追求していくと、自分で血を流さなければいけないことも多くて辛いが、それを乗り越えてもう少したくましくいけばいいと思う。」


この夕鶴「つう」的な感じがとても好き。
我が身を削って血を流しながら、何かを作り上げようとする。

私は昔からそういう後ろ姿に胸を打たれ、惚れちゃう「たち」らしい。
(笑)

美学っていうか。
痛い人が好きなの。(^_^;)

表面フェミニスト面なのに、
女性を尊敬せず、いい男も描かない。

面の皮を一皮剥いた人間の本質を描く、そんなスタンスが面白い。

「人は偽善の胸懐から逃れることは出来ないわけで、究極突きつめると喜劇のかたちになる。」

なるほどねぇー。
やっぱ幕末太陽傳観ないと。(^_^;)


ハリウッドの映画製作システムに文句つけてる件はまるでビョンのご不満と同じようで笑えるし。(半世紀前から変わらないってこと?驚)

映画監督の製作会社別の愚痴り合いはいろんなカラーが見えて面白いし。

自己作品ひとつひとつについて語っている文章はそれぞれの作品への思い入れが如実にわかって楽しいし。

対談記事は彼の人柄を覗き見るよう。
この人本当は優しいんじゃなかろうか…。

シナリオは「何でこの二作なのか?」
ちょっぴり不思議なセレクトですが。
(^_^;)


もっと川島雄三を知りたいかも。
しばらくコツコツ密かにストーカー予定。(笑)

この人の生涯を映画にしたらきっと面白いに違いない。

彼の役は堺雅人で。

フェミニスト面のわりに残酷そうなところ、でも優しさを捨てきれないところ、ひらがな好きなところ。(笑)
見た目からしてもハマり役だろうなぁ。
誰か映画化してー。(懇願)
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