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成瀬巳喜男アワー






ずっと観たい観たいと思いつつため込んでいた成瀬巳喜男作品を3本、このゴールデンウィークにやっと消化。
簡単に感想を書き留めておきます。

まずはなんといっても
『浮雲』
詳細はこちらで
浮雲

いや、森雅之。
想像以上にどうしようもない男でした。(笑)
優柔不断だし、ずるい。
冷たそうな表情をしながら女を誘い女はコロッと。
女はどんなに酷い仕打ちをされても結局彼から離れられない・・・。
喧嘩別れしても彼が巧く取り繕ってくるとつい許してしまい、
何度も別れと復縁を繰り返しボロボロになっていく・・・。

悪い男って感じじゃないんですよね。
もう・・仕方ない・・そういう感じ。
優しい?ある意味優しいけどある意味とても残酷。

男と女のドロドロ感がボロボロの戦後の風景の中に描かれます。
美しい仏印時代のゆき子
帰国してパンパンになりボロボロのゆき子
怪しい宗教に手を染めた義兄の世話になり裕福になったゆき子
屋久島に向かう富岡にすがりつくゆき子

女はクルクル変わるのに
富岡は変わらない・・。
首尾一貫、ちょっと冷たくて毒舌家で別に女の機嫌を取ろうとか思っているわけではなさそうだし
ぱっとしなくて生活に疲れてみすぼらしいのに何故か女心に火をつけて歩く。

岡田茉莉子を視線でその気にさせるあたり実に巧い。
森雅之・・いやいや富岡のたらしテクが光るあたりがとても面白かったです。

この富岡という男が
「このままじゃいけないと思うんだ・・」といつも前向きというか口先だけ真っ当なことを言う割に
ズルズルと関係を続けるあたりが
ゆき子が「このままじゃ嫌なの」といいながらこのままの関係に甘んじてしまうあたりが
何とも心地が悪い心地よさ。

結末も「あーあ」っていう何とも救いがない感じなんですが
間違いなくこれも一つの愛だろうと確信できる。

富岡のような男に会わなくて良かったと思いながら、こんな男に引っかかったら私もああなるのか?と興味深く
ちょっと残念に思いました。(笑)

成瀬映画としてはちょっと異質かもしれません。★★★


『めし』

蓮実重彦先生お勧め

詳細はこちら
『めし』allcinema

私の好みとしてはこちらのほうが好きです。

ドラマチックな大恋愛の末、周囲の反対を押し切って結ばれた二人。
結婚して数年が経ち
毎日変わり映えしない日常。
生活に追われ、疲れ・・。
ふとしたきっかけで妻は今の生活に疑問を抱き始める。

上原謙・原節子 なんともみすぼらしい長屋とミスマッチな美しい二人が生活に疲れ
夢がしぼんでいくような感覚に陥っていくあたりが面白いです。

東京に住むお嬢様育ちの姪の里子が家出をしてこの長屋に居候するあたりから
原節子演じる三千代の感情は逆なでされ、苛立ちを隠せなくなります。

このあたりのブチ切れる寸前の原節子がとても面白く。
気付かないのかわざと取り合わないのか平然と構える上原謙がいい。

東京に向かうというやたらと背中で苛立つ妻
(苛立っているシーンは何故か彼女の背中が印象に残ります)に
「え~そうなの。行ってらっしゃい」みたいな妙な余裕で返す夫。

迎えに行った癖に「出張でさぁ」とあっさり言う夫。

彼、森雅之と違ってとても誠実です。(笑)

とにかくこの話の根底には
深く愛し合う二人の感情が炎をあげてメラメラとではないけれど、炭火のようにジーッと燃えていて
風が吹いたり雨が当たったりするんだけど結局最後「あ、ちゃんと火、付いてるよね」と確認できる爽やかさがあります。

里子が三千代の従兄に鞍替えしたのを知り、
三千代がゲラゲラ笑うシーンは彼女の女性心理が見えてとても面白かったですね。

登場人物の本音と建て前が見え隠れするあたりの描写が良かったです。

人間描写が光る成瀬映画です。 ★★★半


『女の中にいる他人』

詳細はこちらですがあまり詳細ではない(笑)
Amazon 『女の中にいる他人』


これは期待していなかった割に面白かったです。

サスペンス分類なんですね・・。犯人は事件が発覚する前、映画のほぼ冒頭から決まっています。(笑)
オープニングの小林桂樹の歩く姿からしてもう事件の主犯です。

まあ、この映画は犯人捜しではないので全く問題はありません。
小林桂樹演じる田代と三橋達也演じる杉本の交友
杉本の妻さゆり(若林映子)が何者かに殺害されるところから話は始まり
田代の家族と杉本の家族の関係
それぞれの生活、価値観、性格それらが些細なエピソードを描きつつ端的に表現されていきます。
そこで田代の告白。
杉本の困惑。
新珠三千代演じる田代の妻の驚きと動揺と・・・・決意。
それぞれの登場人物の心理描写が実に面白いです。
特に新珠三千代は秀逸。

いくつかのレビューを拝読し

中古智美術監督の証言によれば、小林桂樹演じる田代というのはサディストを装ったマゾヒストなのだという。女の首を絞める時「ここでもう少し手を強めれば自分は犯罪者になるかも知れない」という恐怖が訪れることを期待するような男である。だから、彼にとって一番の苦痛は、自身の罪が許されてしまうことになるのだろう。また、三橋達也演じる妻を殺された親友にとってみれば、このマゾヒストに対する一番の復讐は、彼を宙ぶらりんの状態にしておくことだという意志も見え隠れする。

・・・といった解釈や

新珠三千代は自分の預かり知らない場所で贖罪をして自由になろうとする夫に嫉妬して毒殺することによりこの狂気じみた家庭劇は終幕を迎えるのだが、彼女は夫を殺すことで家庭を守ったのかというとそうではなく、結局夫の不安を受け継いだだけというオチがつく。不安というか、不安を抱くことで得られる快楽を、妻は夫を殺すことで初めて受け継ぐことが可能になったといった方が良いのか。新珠三千代にとって「家庭を守る」というのは結局建て前だけなのであって、彼女の真意はだらしがない夫を飲み込み、彼と同一化することが愛の形なのだと思い込んでいるところにあることはまず間違いないと思う。

などの見解を聞くと本当に面白いなぁ~と感心してしまいます。

三橋達也のすごく灰色な感じも私的には共感できました。
若林映子はおもいっきりボンドガールで(笑)異質。
きっとそこが必要だったのだと思います。

エンディングはどこか『幸福』のような恐ろしさあり。
掘り出し物でした。   ★★★★
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