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花に嵐の映画もあるぞ-川島雄三研究②「洲崎パラダイス赤信号」を観る




川島雄三監督の日活時代の代表作のひとつ
「洲崎パラダイス赤信号」を鑑賞。
今まで川島作品コツコツ観ております。
観て思うのは、どの作品もよくも悪くも登場人物が生きてる感じがすることでしょうか。
お人形さんやロボットみたいな人ではなく人間臭い登場人物が多い。
人の業みたいなものが漂う。
人生の成功者というより、
落伍者に近いキャラクターたちのあがく姿が、クールな、
でも何処か温かい目線で綴られます。
西川美和監督が川島監督をリスペクトするのもその辺りでしょうか。

さて、本作品ですが。
何か人生のどん底八方ふさがりみたいな男女が
隅田川を眺めている風景から物語は始まります。

泊まるあてもなく、仕事もなく、お金も60円しかない。

どうすると聞く女。

どうにもならないとボヤく男。

「どうせ俺なんて」を繰り返す男。

2人は当てもなく都バスに飛び乗り
下町の外れ、赤線地帯で有名な洲崎弁天町に流れ着きます。

しょぼくれてても仕方ないと生命力が溢れ前向きな女、新珠三千代。

女に尻を叩かれても後ろ向きでやる気が全くない男、三橋達也。

洲崎バラダイスに足を踏み入れることも出来ず、
さりとて真っ当な暮らしを営む当てもなく。

橋のたもとの呑み屋の女中求むの看板に追いすがる。

職探しに前向きな女。

女に文句を言われ半ばやけ気味に蕎麦屋の出前持ちを始める男。

羽振りのいい客に取り入る女。
嫉妬する男。
男を見守るしっかり者の娘。
2人を見守る呑み屋の女将。

若い女を作り、女房と子二人を捨てて蒸発した女将の旦那。
待ち続ける女将。


逃げた女は言います。

「大きい体して腐ってるあの男(ひと)といる時は今の
人のバイクのエンジンの音聞こえるとパーっと気分が
晴れたんだけど、今は蕎麦屋の出前持ち見るとあの男
じゃないかって…目が追いかけちゃうのよね」

夜逃げ同然で逃げたくせに
ダンナが出張中で寂しいからと
せっかく真っ当に出前持ちを始めた男の前に現れる女。

躊躇う男。

すがらないしっかり者の娘。


捨てた女に殺される女将の旦那。
雨の中、すがりつき泣き叫ぶ女将。

見つめ合う男と女。

橋の上、オープニングと同じシチュエーション。

「ねぇ…今夜どうする?」尋ねる女。

繰り返される同じセリフ。

同じ風景。

「今度はあんたが決めてよ」

「よし」

走り出す男。

ついて行く女。

走るバスに飛び乗る2人。

「終」

舞台は赤線「洲崎パラダイス」入り口に佇む一杯呑み屋から半径100m。


この店は中と外の境界線。
外の者にとって中は特別。
中に入ったらおしまいで、
でもここはおしまいじゃない、
でもおしまい一歩手前みたいな「どん詰まり感」の中、登場人物たちの日常があります。

もがいてもがいて。

突き放して引き止めて。

捨てられてただ待ち続けて。

離れたいけど離れられない。

離れたくないけど、離れずにいられない。


人の中へ中へ入っていく映画があり。
反対に外へ外へ出ていく映画があるとすれば、
この映画は外の世界を中へ取り込んているようなーとても不思議な印象があります。

舞台を極めて狭い社会にすることで、
描いている外の世界自体が実に内省的なイメージで描かれる。

ドロドロしているようで寂しげで人恋しくて…でもカラッとしていてたくましくて。
あの時代がより一層そう感じさせるのかな。

ひ弱で非力な現代人に成り下がった私は
ラストシーンの前向きさに凄いなとひたすら感心するのでした。



余談ですが、
この殺人現場の洲崎の弁天様は
私が産まれ育った木場の街の端っこにあります。
三歳も七歳もお祝いはこの弁天様。
宮司さんのお孫さんは同級生で学校から帰るとここが遊び場でした。

秘密基地もあったし、
年中タカオニや缶蹴りして遊んだ記憶があります。
移動図書館のバスもこの境内に止まってたな。
懐かしい…。

ほとんど映画にはでて来ませんが、
刺された夫を雨の中確認しに弁天様に来る女将さんが
崩れ落ちながらおりていた洲崎方面からの階段。


そこに友達と座り、
木村屋さんで買った駄菓子をかじった思い出が懐かしいです。

今年の父の日のプレゼント。
この街で50年働いていた父にこの映画のDVDを。

産まれ育った街は思い入れも特別なのかもしれませんが。

★★★★
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